モーリス・ユトリロ展
2025年9月20日(土)~12月14日(日)
SOMPO美術館
パリの街並みの風景画で知られる、モーリス・ユトリロ(1883–1955)。
SOMPO美術館では没後70年の節目に、ユトリロの初期作品から晩年の作品を紹介する特別展を開催。
ユトリロの名品を展覧する本展の魅力や見どころを会場の様子とともにご紹介します。
モーリス・ユトリロ展 レビュー
ユトリロは画家である母シュザンヌ・ヴァラドン(1865–1938)の私生児として生まれ、アルコール依存症の治療の一環として絵を描き、波乱に満ちた人生を送りながらも、独創的な作風でエコール・ド・パリ(「パリの流派」)の画家として美術界を席巻しました。
本展では、フランス国立近代美術館(ポンピドゥセンター)から、《モンマニーの屋根》(1906– 07年頃)や《ラパン・アジル》(1910年)を含む所蔵作品約 70点が来日。
これに国内の所蔵作品、ユトリロ協会のアーカイヴ資料を加え、画家の全貌にせまる展覧会です。
恋多き母シュザンヌとの親子関係も織りまぜつつ、ユトリロの画業の軌跡を辿ります。
展示は、「モンマニー時代」と称される、モーリス・ユトリロの芸術的・出発点からスタート。
生まれ育ったモンマルトルや、パリ近郊の小村モンマニーの風景画は、緑や黄土色が際立つ独自の色彩感覚や空間構成に特徴づけられます。
続く「白の時代」では、パリの街並みや風景の巧みな構成、描かれた家や教会など建造物の壁の白色の独特の質感に注目。
そして、ユトリロの絶頂期、鮮やかな色が風景を彩る「色彩の時代」では、絵画空間や人物の抽象化、記号化も窺われます。
展覧会では、これらの大きな流れに加え、モンマルトルのキャバレー「ラパン・アジル」を題材にした《ラパン・アジル》のバリエーションを展示。
その制作方法や表現の変遷を比較することができます。
アーカイヴからはシュザンヌ・ヴァラドンやユトリロの自筆の手紙、晩年のユトリロが登場する映像も興味深く、ユトリロはこんな人だったのか、と発見することになるでしょう。
また、山下大輝さん(声優)がナビゲーターを務めるオーディオガイド(※料金別途)は、絵の解説に加え画家にまつわるエピソードがちりばめられ、展覧会をより楽しむことができます。
モーリス・ユトリロ展 展示風景

《マルカデ通り》 1909年
名古屋市美術館



《ラパン・アジル》作品群の一部

《シャラント県アングレム、 サン=ピエール大聖堂》 1935年
公益財団法人ひろしま美術館
※情報は掲載時のものであり、変更されることもあります。詳細は主催者にご確認ください。
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