マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート
2025年2月13日(木)~6月8日(日)
森美術館
展覧会「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」では、ゲームエンジン、AI、仮想現実(VR)、生成AIなどのテクノロジーを採用した、国内外クリエイター12組による現代アート約50点を紹介しています。
今回は、本展のレポートをお届けします。
「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」レポート
本展でのマシンとは昔の「機械」ではなく、コンピューターやハードウェアをまとめて指す、デジタルな「マシン」のことを指します。
仮想現実(VR)、AI、生成AI・大規模言語モデル(LLM)などの方法、そしてさまざまなデジタル・データを採り入れて生み出されたアートをフィーチャーしています。
仮想とリアル、超現実、テクノロジーと精神性、AIとの対話、フィクションとシミュレーション、アバターやキャラクター、そしてゲーム……。
人類と「マシン」の関係は、果たして「ラブ」なのか。
作品はいずれも現代性に優れており、現実から作品の世界へと、驚くほど違和感なく入っていくことができます。
足を踏み入れた途端にわくわくして楽しい、しかし、作品を通じて現代社会が抱える問題について考えさせられる展覧会です。
「マシン・ラブ」クリエイターと展示作品より
◆ビープル
宇宙飛行士のような人間が変わりゆく風景の中をひたすら歩いている。
《ヒューマン・ワン》(2021年)は、NFT(非代替性トークン)で有名になった米国のデジタルアーティスト ビープルによる、回転するビデオ彫刻。
メタバース(インターネット上に構築された3次元の仮想空間)で生まれた最初の人間が、変わり続けるデジタル世界を旅する様子を表現している。

《ヒューマン・ワン》(2021年)
4面スクリーン(16K)、磨かれたアルミメタル、マホガニー材の枠、メディアサーバー、NFTの変化と同期した 映像(永続)
◆ディムート
ベルリン出身でニューヨーク在住のディムートが関心を寄せるのは、データセット(非常に大きなデータの集合体)とディープラーニング(深層学習)、両者を用いた大規模言語モデル(LLM)。
展示3作品の一つでは、AIキャラクター同士がLLMに基づき、哲学的な対話をしている。

《総合的実体への3つのアプローチ》(2025年)より
AIインスタレーション
テクニカル・コラボレーション:ジョージア工科大学、ノースイースタン大学、ユタ大学
◆シュウ・ジャウェイ(許家維)
AIの運用に必要な半導体チップの材料となる、シリコンウエハー。
その成分の99%は砂浜で採取された小石から作られている。
バーチャルな海辺、AI専用チップの研究所の映像などを、生成AIによる音楽とともに構成し、素材レベルから問いかける。

2024年
VR(仮想現実)、透明なコンピューターケース、ホストコンピューター、ブイ(浮標)、連結したスクリーン
5分
◆ルー・ヤン(陸揚)
中央のスクリーンでは、自分自身のアバターが仏教世界の様々な次元を旅する映像シリーズ「DOKU」より上映。
3GCG、ゲームエンジン、モーションキャプチャーなどが使われている映像インスタレーション作品には、宗教的哲学が込められている。

《独生独死―自我》(2022年)
ビデオ
36分
作曲、プロデュース:李鑫
サウンドエフェクト、マスタリング:杜佳宣
トランペット、フリューゲルホルン:豊玉程
ナレーション:タカノ・シンヤ
◆アニカ・イ
生成AIに学習させたデータを用いて作り上げた絵画空間、その中央にはクラゲのような「放散虫」を象った彫刻がマシンと生命体の特徴を併せ持つ。
※情報は掲載時のものであり、変更されることもあります。詳細は主催者にご確認ください。
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